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5月16日のまにら新聞から

カルピオ氏の卑劣な罠 大統領討論会騒動

[ 633字|2021.5.16|社会 (society)|新聞論調 ]

 南シナ海問題でカルピオ元最高裁判事は、大統領に対し外交的抗議だけでは不十分だと繰り返してきた。巧みに明言を避けるが、同氏は中国との戦争を望み、米も比米相互防衛条約により参戦すると考えている。ただ同氏は、米が参戦を拒否したときどうするかという論点には、都合よく触れない。

 大統領が中国と戦争を望まないのは、比単独では勝てないからだ。それに比憲法は国家政策の手段としての戦争の放棄を定めている。

 カルピオ氏はなぜ憲法上の義務を認識せず戦争を望むのか。

 どんな討論も論理と理性で成立し、冷静さを失った者は敗者となる。カルピオ氏の戦略は、大統領の怒りっぽい性格につけ込むことだ。大統領をわざと怒らせ続けて討論会に誘い込み、平静を失わせることで勝利を得ようとしている。このトリックは先週ついに成功した。大統領は衝動的に挑戦状をたたきつけ、カルピオ氏は当然受けた。大統領顧問経験のある同氏は、大統領が最終的に討論会を辞退することを知っていた。現職大統の討論は大統領職務基準が禁止しているからだ。

 同氏にとって討論会は、仮に負けても無料で知名度を上げられ、勝てば野党の大統領候補として有力になれ、大統領が辞退したら臆病者の烙印(らくいん)を押せる。どう転んでも有利になる卑劣な罠(わな)だった。

 だが大統領は、国際法の専門家ロケ報道官を討論の代理に指名した。これでカルピオ氏の当初の作戦は通用しなくなり、厳しい戦いを強いられるだろう。(12日・トリビューン)

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