「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
33度-25度
両替レート
1万円=P3,780
$100=P5880

4月11日のまにら新聞から

一部の人々の無責任を問う 「コロナ密輸」

[ 670字|2021.4.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏とブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州は一固まりで「バブル(近隣)」地域と呼ばれる。バブルは、感染力がこれまで以上に強い新型コロナウイルス変異種の急速な拡大を押さえる目的で存在する。だが、悪徳業者は人々を感染の脅威にさらしてでも、バブルを越境させる方法を見つけ出していく。トゥガデ運輸相は今週、公衆衛生を無視する者による「コロナ密輸」を強く非難した。

 「密輸」に関わるのは、バブル地域のトラック会社や未登録の公共交通車両(コロルム)などだ。運輸省は聖週間だけで、バブルからの乗客をビコール地域へ運ぶ途中だった12台のカラルムを捕まえている。3月19日〜4月2日の同ルート利用者のうち、79人がコロナ検査の陽性者だったという。ビコールでも感染は急増しており、近く防疫強化地域(ECQ)に指定される可能性もある。

 SNS上で広がった映像には、トラックの荷台のドアを開けると、マスクやフェイスシールドを付けずに身を寄せ合う大勢の人が次々と降りてくる場面が映っている。彼らはその後、首都圏各地へ向かうワゴン車に乗り換えたという。運輸省によると、トラックはケソン州やビコール方面からバブル内の自宅へ帰る客を乗せていた。

 正規の移動には、事前にPCR検査を受けるなど、煩雑な手続きがいる。この危機的状況の中でも人々が生計を立て続けなければならないことは誰もが理解している。ただ、バブルは現在「殺人ウイルス」の流行地だ。無責任な一部の人々のために、他人の健康が損われ、多くの人々の努力が無に帰することは許されない。(8日・スター)

新聞論調