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9月20日のまにら新聞から

行政監察院は模範示せ 資産計算書公開

[ 641字|2020.9.20|社会 (society)|新聞論調 ]

 行政監察院(オンブズマン)は本来、腐敗との闘いの先陣を切る組織だ。しかし、逆に公共サービスの不透明性の先陣を切っているように見える。行政監察院は、大統領、副大統領および政府高官の資産、負債、純資産のメディアへの公開を制限した。今後、これらの資料のコピーを求める際は、本人の同意を必要とするという。

 「資産及び負債、純資産の計算書」(SALN)と呼ばれる文書に基づいて、これまでセレノ、コロナの2人の最高裁長官が更迭された。マルティネス行政監察院長は、セレノ長官更迭当時、更迭に賛成票を投じた8人の最高裁判所裁判官の1人だった。マルティネス氏を含む8人は、セレノ長官が就任時に提出したSALNに問題があったとして任命自体が無効と主張したカリダ訟務長官を支持した。

 腐敗防止機関である行政監察院は、政府の透明性を促進すべき機関だ。情報へのアクセス自由法の制定、特定の疑わしい取引に対する銀行秘密法の緩和、SALN公開促進などを、本来は推進する立場にある。まずは、マルティネス行政監察院長自身が自分のSALNをメディアに公開して模範を示すべきだ。

 しかし、行政監察院は、逆の方向に動いており、公務員が不正に入手した富を隠蔽しやすくしている。隠すことが何もない者は、SALN公開を恐れることはない。

 フィリピンは、毎年数十億ペソが政府予算などから汚職によって奪われてきた。汚職に関わった公務員を処罰できずにいることが、この国の根深い問題となっているのだ。(17日、スター)

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