回答者自身問う質問を 世論調査の落とし穴
世論調査に関して一般の人の多くは、1200人のサンプルがどうして何百万人を代表できるのか、と疑問に思っているだろう。
結論から言えば、選挙で誰が優勢か、新型コロナウイルスへの大統領の取り組みへの支持率、といったことについての総意は、国民全員の意見を聞く必要はない。大切なのは、総人口を構成している誰もが等しく「無作為」に選ばれ、「真の代表」としてサンプル化することである。
意図的ではなくとも、対象者を抽出する段階で、特定の人々が優先されるようであれば、調査にとって致命的だ。
回答者が自発的に参加できるオンライン調査は「真の代表」とは言えないだろう。企業が自らの従業員を対象とする場合には効果的だろうが、国の政策への反応を知るには、偏りは避けられない。特定のラジオ局やウェブサイト、オンライン上が実施する調査の正確性は疑った方がいい。
プロの調査会社は、まず基礎となる地政学的な単位を決定し、人口に比例してサンプル抽出を行う。
この方法にも落とし穴がないわけではない。地域によって政治的背景が複雑で多様性に富む場合には、階級、宗教、民族などより関連性の高い政治的変数を考慮することが欠かせない。
質問の構成や出し方、結果の分析、解釈にも慎重さは求められる。欲を言えば、政治家に何を期待しているのか、という回答者自身の考えや、政治、政治家との距離感が測れる質問があってもいい。(3日・マニラタイムズ、アントニオ・コントレラス)