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6月26日のまにら新聞から

国際法違反を無視する比政府 名誉棄損罪の禁固刑規定

[ 794字|2020.6.26|社会 (society)|新聞論調 ]

 ラップラー社のレッサ総編集長らがサイバー犯罪法の名誉棄損で有罪判決を受けたことは、国連人権委員会が比の名誉棄損条項が国際条約に違反していると宣言した事実に光を当てている。比政府は1986年に「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(ICCPR)、89年には同規約の選択議定書を批准。比政府による市民権や政治的権利の侵害があり、国内司法で解決できない場合に国連人権委員会に個人的に申し立てることができることになった。

 2001年、ダバオ市のラジオ・キャスターだったアドニス氏が番組で地元の下院議員が既婚のタレント女性と不倫関係にあると暴露、名指しされた下院議員が同氏を名誉棄損で訴えた。ラジオ局は弁護人を雇ったが、弁護人は勝手に裁判から手を引き、アドニス氏は有罪判決を受けた。同氏は2年間の刑期を務めていた08年、NGOの国際法センターを代理人に任命。同センターが国連人権委員会に、比が国際規約の名誉棄損に関する条項に違反していると申し立てた。特に、名誉棄損の刑罰としての禁固刑は必要性と合理性に反しているとして、民事賠償請求に置き換えるべきだと訴えた。

 一方、比政府は、表現の自由は絶対でなく、中傷や名誉棄損などを犯す「限りない許可」を与えておらず、公人への批判はその公務に限られ、私生活まで拡大できないとした。11年に同委員会は「禁固刑は名誉棄損の刑罰として適切でなく、比政府は同規約に違反している」との決定を出した。しかし、比は順守せず、翌年にサイバー犯罪防止法を制定、名誉棄損に対しさらに長期の禁固刑を定めた。

 国連人権委員会決定には法的拘束力がない。これは中国を相手に比が申し立てた南シナ海の領有権に関する仲裁裁判所の判断にも当てはまる。比が国際法を順守していないのに、中国を同法違反と主張することはできないだろう。(22日・インクワイアラー、ジョエル・ブトゥヤン)

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