「民主主義は権威主義化する」 混迷のフィリピン政治を読む(前)
[ 2981字|政治 (politics) ] 無料世界に先駆け独裁体制を倒した比の民主主義が「独裁者の息子」を大統領に選んだ理由を柴田氏に聞いた(前)
海外では同盟国・米国で第二次トランプ政権が始まり、国内では中間選挙と政権の折り返しを迎える2025年。混迷を深めるフィリピン政治を世界の潮流の中でどう読み解くべきなのか。40年近くにわたりフィリピン政治に向き合ってきた経験に基づき、昨年「ルポ フィリピンの民主主義ーピープルパワー革命からの40年」(岩波新書)を上梓(じょうし)した、ジャーナリストの柴田直治氏(朝日新聞元論説副主幹)に話を聞いた。前編となる今回は、世界に先駆け民衆革命を成し遂げたフィリピンの民主主義が、「独裁者の息子」であるボンボン・マルコス氏を再び権力に返り咲かせるまでの社会の変化に対する同氏の見方を紹介する。(聞き手は竹下友章)