カエタノ議員の画策成功するか 下院議長職の争奪戦
ドゥテルテ大統領が下院議長職をカエタノ議員とベラスコ議員の2人でそれぞれ1年3カ月と1年9カ月で分け合うという提案を支持すると発表した。この時、カエタノ氏は自分が議長職に就けると確信したに違いない。もう一人の有力候補だったロムアルデス議員も与党院内総務に3年間就くことで、この提案を受け入れた。しかし、下院議員の多くはカエタノ氏を支持していないのが実情だ。
政党リスト(比例代表)制のロメロ議員は、カエタノ氏が独裁的にふるまう傾向があるとして、自分たちのグループはベラスコ氏を支持すると発表していた。実際、マリンドゥケ州選出のベラスコ氏が下院の過半数以上の支持を得ていたし、大統領の娘サラ・ドゥテルテや息子のパオロ氏も彼を支持していた。一方のロムアルデス氏もアロヨ前下院議長を中心に支持を広げることもできた。
劣勢のカエタノ氏が議長職を得るためには、大統領の支持が唯一の頼みの綱。そこで自分から議長職をベラスコ氏と分け合うという提案を持ち出した。また彼の妻でやはり下院議員となったラニー・カエタノが安倍首相と会談する大統領の訪日に同行し、大統領に涙の陳情をした。カエタノ氏は同僚たちの歓心を買うため、下院議員の任期延長法案を審議すると言い出した。
しかし、最近、ドゥテルテ大統領は11月30日に比で開幕する東南アジア競技大会の運営を、民間財団のフィリピン東南アジア競技大会組織委員会(PHISGOC)ではなく、政府で行うと明言した。この民間財団はカエタノ議員が主宰しており、運営主体となれば60億ペソの予算を手中に出来る算段だった。財団の干渉によって、本来の主催団体であるべき比オリンピック委員会やスポーツ委員会による組織化が遅れていたのだ。
この大統領の発表を受けてカエタノ氏は急きょ、ベラスコ氏やロムアルデス氏と会合を持ったという。一方、大統領はこの会合の直前にベラスコ氏やその家族と首都圏のホテルで親密なディナーをともにしている。カエタノ氏が議長職を本当に手中に収めるために残された期間はわずかだ。(15日・トリビューン、アルドリン・カルドナ)