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6月30日のまにら新聞から

より良い世界のために 戒厳令部分解除は第一歩

[ 670字|2019.6.30|社会 (society)|新聞論調 ]

 ミンダナオでの長引く戒厳令はドゥテルテ政権も頭を抱える問題だ。そんな中、大統領の娘であるダバオ市のサラ市長の口から同市と北ダバオ州サマル市(サマル島)の戒厳令部分解除を求める発言が飛び出した。

 軍の高官や議員たちは、戒厳令を正当化して継続することに神経を注いできた。しかし、前々から経済界からは戒厳令に反対する声は出ていた。戒厳令の効果について、未だに明確な回答が出せない部分は多い。

 ミンダナオの人々は実際安全になったのか。地域のコミュニティーは改善したのか。人々の暮らしは良くなったか。

 ジャーナリストのマルガリータ・バリェ氏(61)が東ミサミス州の空港で「殺人犯」と間違えられ逮捕された背景には、戒厳令がある。現政権下では「暴力を終わらせる」との名目で、人々の抱える傷口に塩を塗っているケースが時に目立つ。

 サラ市長の一声は、ミンダナオが「異常」から正常へ移行する第一歩として、何ものにも時効があることを呼び起こす。2市で解除が実現すれば、いずれ波状効果を呼ぶに違いない。

 実際に戒厳令はミンダナオにおける観光業の低迷を招いてきた。特に大統領の膝元のダバオ市は、現政権下での政治とビジネスの中心的様相を呈している。そこが戒厳令とはいかなるものだろう。一方で戒厳令は国軍とイスラム過激派との戦闘で壊滅したマラウィ市の復興に貢献したとは言いがたい。

 事実、よい良い世界はまだ遠いが、少なくとも両市の戒厳令が解除できるのであれば、明らかな前進と呼べるのではないだろうか。(27日・インクワイアラー、テリー・リドン)

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