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6月30日のまにら新聞から

関税は強力な経済政策 国内政治と共鳴する関税

[ 627字|2019.6.30|経済 (economy)|新聞論調 ]

 関税は間違いなく、国の外交政策の最も強力な武器だと言える。同時に扱いに最も慎重を要する危険なものでもある。各国政府は通常、地勢学と国内政治という2点で関税の使い分けをしている。

 地政学的には国外への経済政策の一環として面と向かった「仕返し」の側面を伴う。関税措置を課される国は、ただ無抵抗でいることはあり得ない。ボクシングにも似て、課税側が最も痛がる部位を目指して報復関税を打ち出してくる。

 報復国の貿易戦略家は2つの地図を研究する。すなわち関税引き上げ国の生産施設の地理的分布を示す地図、それから直近の選挙で引き上げ国の政権党が勝利した地域を示す地図。米国で言えば2016年にドナルド・トランプ氏が勝った共和党地域の「赤い州」を指す。どちらも簡単に手に入る代物だ。

 関税引き上げ国がやがて返ってくる報復的措置の方向性と攻撃部分が分からずにいると、影響は甚大なものになる。特に農業は直接、悲惨な事態を引き起こす。例えばトランプ大統領を支持する州の産品でもあるトウモロコシは、海外市場の損失が農家の損益計算書に直結する。現に中国、カナダ、EU加盟国は、ドナルド・トランプを選出した州の産業や輸出産品への狙い打ちを実施している。彼らは効果的な報復方法を心得ているといえる。

 私たちもそうした世界の実情を理解し、関税という、経済政策上の有効で強力な「武器」を適度かつ賢明に磨いていくことが必要だ。(6月25日・スタンダード、ルディー・ロメオ)

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