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5月24日のまにら新聞から

さらなる雇用創出の努力を 新卒者たちの就活本番迎え

[ 801字|2019.5.24|社会 (society)|新聞論調 ]

 大学や高校の卒業生による就職活動が現実に直面する季節となった。新卒者の就職率は35〜40%とされ、しかも自分の専攻学問が生かせる職種に就職できる者の割合は10%ほどだという。フィリピン統計庁によると、失業率は今年1月で5・2%だが、失業者全体のうち、15〜24歳までが占める割合が43・7%と最大で、25歳〜34歳の30・6%を加えると、若年層の失業者が圧倒的に多いのだ。

 かつては比大やアテネオ大などの国内トップ大学を卒業した者を雇用しようとする大手企業が多かった。しかし最近、経営者の間で比工芸大学(PUP)の卒業生への人気が一番高いという。その理由は彼らがあまり高い自尊心を示さないことや長時間勤務に耐えられること、そして少々の困難では任務を放棄しないことだという。次いで人気が高いのはサントトマス大だった。しかし、新卒者たちは過酷な就職活動を潜り抜ける必要がある。彼らが抱える大きな問題は、求人に対して求職者が多すぎることと、企業が求める技術と大学で得た技術との間にミスマッチがあることだ。

 一方、経営者団体などは新卒者の問題点として、批判的思考や効果的なコミュニケーションの欠如、積極性が足りないことを挙げている。また、アジア開発銀行は、就職できない若者たちの問題点として、経験と技術、および必要とされている職種に関する知識の欠如や通勤手段の確保を挙げている。また今後2〜3年で現在ある職種や業種の48%以上が自動化でなくなってしまう危機に面しており、さらに失業者を産み出すそうだ。

 しかし、家族の誰かが大学を卒業していないと貧困状態から抜け出せないという統計もある。大学卒業のために払った努力や犠牲が報われるよう政府や財界のリーダーたちは雇用創出にさらに努力してほしい。雇用機会こそが平等なチャンスを国民に与え、国造りに貢献できるからだ。(21日・ブレティン、ジョーイ・リナ)

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