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11月23日のまにら新聞から

ニューギニアで比人農夫が稲作開始 2国間の稲作農地開拓プログラム

[ 809字|2018.11.23|社会 (society)|新聞論調 ]

 パプアニューギニアは最近、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が開かれたことで話題になった。同国に21カ国の首脳が集まり協議したが、25年間の歴史で初めて首脳宣言の採択が見送られた。米国と中国が貿易問題で折り合いがつかなかったからだ。

 ドゥテルテ大統領も比代表団を率いて同国の首都ポートモレスビーで開催された首脳会議に参加した。会議自体は不毛な結果に終わったが、比代表団は今回、APEC参加の他に、パプアニューギニアとの2国間協力プログラムを交渉するという目的もあった。このプログラムは、パプアニューギニアの東セピック州にある5万ヘクタールの農地を比人農夫らが耕作し、コメ栽培を行うという事業なのだ。ピニョル農務長官はポートモレスビーで会見し、比人農夫たちが実験農場でコメ栽培を開始したと明らかにした。現地は肥沃なため栽培はうまく行っており、12月最終週に最初の収穫が見込まれるという。

 同長官によると、比のコメ生産コストは1キロ当たり12ペソとベトナムの同7ペソとくらべ高い。一方、パプアニューギニアは土地が肥沃であるほか、世界最大級の東セピック川があり水資源も豊富で、コストもベトナムに対抗できるという。計画ではまず10万ヘクタールの農地を開拓し、同国の人口800万人に供給できるコメ40万トンを生産する。その後、100万ヘクタールまで開拓し、フィリピン向けにもコメを輸出するのだ。5年後に最初の輸出を目指す。

 フィリピンでは商用転換が進み900万ヘクタールまで農地が減っている。また人口増加も進み、農業用水の確保に問題を抱える。一方で科学者による高収量で病気に強いイネの品種改良も進んでいる。まだ開発が進んでいないパプアニューギニアに目を向けるというのは、両国が恩恵を受けられる良いアイデアだ。比の食糧安全保障を確立する上で、南太平洋における隣国との提携は役に立つだろう。(22日・ブレティン)

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