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11月23日のまにら新聞から

報道機関に対する圧力 人気ドラマ番組に国警長官が怒り

[ 767字|2018.11.23|社会 (society)|新聞論調 ]

 アルバヤルデ国家警察長官が人気アクションドラマ番組「アン・プロビンシャーノ(地方出身者)」に対して怒りを表明したのは懸念される。ドゥテルテ大統領がこれまで、番組を放映するABS|CBN(チャンネル2)に対して、自分に不利な報道をするとして何度も非難し、2020年3月に期限を迎える同社の放送局運営権の更新を認めないと脅しをかけているだけになおさらだ。大統領府は、セレノ前最高裁長官の追放に成功した後、トリリャネス上院議員の恩赦問題に関する追及などで、同テレビ局に対する攻撃は一時休止されていたが、また復活する気配だ。

 ある情報筋によると、大統領は来年の中間選挙までにABS|CBNを報道機関として排除することを画策しているという。具体的にはロペス一族がマルコス政権崩壊後の1986年に同局を再び所有することになった経緯の違法性を司法的に追及するというのだ。そんな中、人気番組に対し国家警察長官やアニョ内務自治長官が、ドラマの中で警察官がネガティブに描かれていると苦情を表明したのだ。

 女性団体のガブリエラは「警察自体が血塗られた麻薬撲滅戦争と少女レイプ事件などを起こし警官のイメージを損なっている張本人だ」とした上で、これらの表明は検閲にあたる、と批判した。

 父親がかつて同じタイトルの人気映画に出演していたポー上院議員も「ドラマ番組はフィクションにすぎない」と釘を刺している。しかし、内務自治省は番組の制作者たちの告訴を真剣に検討していると表明した。

マラヤ同省報道官によると、警察の制服や車両、また国家警察のロゴなどを使用している点や番組内容が未成年の視聴にふさわしくない点などを根拠に告訴するつもりだという。そのような事態になれば本当にやっかいな問題となるだろう。(19日・マラヤ、エレン・トルデシリャス)

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