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11月4日のまにら新聞から

家族とのつながりを確認 万聖節

[ 627字|2018.11.4|社会 (society)|新聞論調 ]

 フィリピン人は死者に敬意を払う点においては最も信心深い人々ではないだろうか。毎年、万聖節が近付くとテレビやラジオでひっきりなしに万聖節の墓参りの準備について報じられる。

 万聖節はわれわれにとって単に伝統行事というだけではなく、死者を訪れることによって普段離れている家族が集結することを祝う意味もある。

 われわれは家族に大きな意味を置いている。家族とのいとおしい思い出は死別の喪失感をも超える。だから死でさえ、家族の絆を断ち切ることはできないのだ。

 逆説的にも、死者を訪ねることは、その人がかつて生きた人生を祝福することでもある。例えば、私たちは非常に大きな一族ではあるが、有名な料理人だった私の祖母のことを皆よく覚えている。料理のレシピの話、祖母が好きだった料理のこと、いたずら好きないとこが台所で悪さをしたことまで、思い出を大事に共有しながら、私たちは祖母のことを今でも恋しく思っている。

 私たちが亡き祖母を忘れる瞬間はかつて一度もなかった。そしてその記憶はいつも私たち一族をつなぎとめているのだ。このように、共に過ごした思い出が最も大切な宝物になるということは、どのフィリピン人家族にも言えることだと私は考えている。

 万聖節は多くの比人がたくさんの準備をして、死者を訪ねる旅に出る日だ。しかしそれは、何度となく家族のつながりを確かめ、再会する比人にとって、数多くある機会のうちの一つにすぎないのだ。(2日、スター、ピア・モラト)

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