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7月29日のまにら新聞から

「奴隷制度」への怒り忘れるな ブロガー発言

[ 642字|2018.7.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 今年のドゥテルテ大統領の施政方針演説は驚くほど退屈で、言葉のインパクトという点ならクウェートの美容ブロガー、ソンドス・アルカタンさんの方が注目を浴びた。

 アルカタンさんはインターネット交流サイト(SNS)で、クウェートで働く比人海外就労者(OFW)に旅券の自己保管などを認める法改正に反対した。世界中にいる比人が激しく反発したため、彼女は一夜にして「前時代的な奴隷使役者」など国際的な悪評を得るに至った。

 発言の核心にあるのは、中東諸国の歴史と文化に深く根ざしている「カファーラ制」だ。その元で雇用主は外国人労働者の保証人となり、面倒を見る代わりに支配権を得る。実態としては、外国人に虐待を加えたり、賃金を低くする言い訳になっている。

 しかし、外国人労働者の権利保護に向け動きが始まっている。比とクウェートが結んだ覚書では、24時間対応の虐待相談窓口の設置や、十分な睡眠時間の確保、携帯電話の使用許可などの項目が合意された。こうした最低限の人権についていまさら国家同士が合意するとはおかしな話しだが、20万人の労働者を送っている比としては遅すぎた対応だ。

 われわれは問題が表面化しているうちは虐待の対策を考えるが、一定期間が過ぎると、その必要性を忘れ、中東へ出稼ぎに行く家族がひつぎに入って帰国することのないよう祈るだけになる。その繰り返しに終止符を打つため、問題の構造を理解し、解決のため立ち上がらなければならない。(27日・インクワイアラー、ヒヤシンス・タグパ)

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