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7月29日のまにら新聞から

募る党幹部への不信 崩れゆく与党

[ 640字|2018.7.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 アモルソロ・スタジアムで27日に開かれたPDPラバンの集会で、実に奇妙なことが起こった。「全国集会」と銘打ちその集会を開いた下部党員らが、党の総裁であるピメンテル上院議員と幹事長のアルバレス下院議員ら党の最高幹部交代をもくろんだのだ。

 幹部らはその後、「集会は非公式のものだ」と釈明する声明を出すはめになった。しかしそのような集会が実際に行われたのは事実だ。

 この出来事は、与党の直面する問題を如実に表している。

 振り返れば、ピメンテル議員は数カ月前、一見「平和的に」上院議長の座を降りた。しかし実力不足だったことは確かだ。またアルバレス議員も、他の議員らから否定され、下院議長から平議員へと引きずり降ろされる様子がテレビで中継されてしまった。

 彼らが元の権力の座に返り咲くのは難しそうだ。ピメンテルは「名ばかり総裁」と陰口をたたかれ、「やる気がなく、独善的」などと評価される。一方のアルバレスは会う人全員から反感を買う奇妙な能力の持ち主で、党の顔には全く向いていない。

 PDPラバンはドゥテルテ大統領を擁立しており、そのリーダーシップの下に強大な支持を集めてもおかしくないが、大統領は自身や所属政党の権力存続には関心がない。同党で中間選を戦えないと悲観した党員らは、サラ・ドゥテルテ・ダバオ市長の設立した地域政党などに移籍を進めている。

 結局、下部党員らの造反工作はなんら驚くに値しない。われわれは崩れゆく政党の姿を目にしているのだ。(28日・スター)

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