「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
33度-25度
両替レート
1万円=P3,780
$100=P5880

2月5日のまにら新聞から

共産党との和平交渉継続を 一時停戦破棄

[ 709字|2017.2.5|社会 (society)|新聞論調 ]

 フィリピン共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)による国内各地での同時多発的な襲撃を受け、比政府の和平交渉団は1月31日、「遺憾で、非常に混乱している」と声明を出した。

 イタリアのローマで行われた直前の和平交渉で、比共産党の統一戦線組織、民族民主戦線(NDF)のアガウィリ和平交渉団長は、NPAは今後、現場の状況に鑑みて一方的停戦を継続するか否かを判断しなければならないと述べた。

 2月1日、比共産党とNPAは停戦破棄を宣言。一方で和平交渉は継続するとした。共産勢力は比政府との武装闘争と交渉を同時に進めるようだ。

 両者は政治犯の釈放で明らかに違う見解を持っていた。NDFは、女性、病人、高齢者ら約400人の同志釈放を要求したが、比政府は応じなかった。NPAはまた、「革命政府が管轄する」国内500地域の学校や保健所を、政府系兵士が地域支援と称して占拠していると訴えた。

 ドゥテルテ大統領はライシウム大の学生時代に、比共産党の最高指導者、ホセ・マリア・シソン氏に師事したと話し、共産勢力との和平を強く望んでいた。共産党の停戦破棄宣言に比政府が遺憾と混乱の思いを抱いたのは当然で、大統領が同様に停戦を破棄するのも、仕方がない。

 しかし、一方的停戦以前の互いに理解し合えたころに戻る道はきっとあるし、やがて相互停戦協定も達成できるだろう。最終和平までは、まだ長い道のりだが、和平交渉を続けなければならない。

 次回の和平交渉は、今月22〜26日、オランダのユトレヒトで開かれる。最近の仲たがいを招いた全ての誤解が解かれることを望む。そうすれば、次回交渉でも新しい前進があるだろう。(4日・ブレティン)

新聞論調