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7月4日のまにら新聞から

破棄された公約 アキノ政権の終わり

[ 693字|2016.7.4|政治 (politics)|新聞論調 ]

 モラレス行政監察院長は、政府内の汚職がうわさ通りに組織ぐるみで行われていると懸念を示した。

 5年前から汚職撲滅の最前線で取り組んできたモラレス氏は、汚職をなくす確実な方法はないと断言しながらも、取り返しがつかなくなる前に、汚職の芽を事前に摘むことが今のところ最善の方法だ、と述べた。

 アキノ前大統領は6年前、国民が忍耐しなければならないような状況は見逃さず、真の公共サービスを提供すると約束した。

 汚職についても、職権乱用の「文化」を排除し、力のある者だけが得をするような環境を改善すると宣言した。「堕落した人が誰一人いなければ、誰一人として貧しくなることはない」というスローガンを掲げ、口先だけではないことを証明しようとした。しかし結果は、アキノ前大統領の単純さが6年かけて明らかになっただけだった。

 モラレス氏は、行政監察院と裁判所が有罪にし、刑務所に収監するような汚職政治家を育む社会システムを観察してきた。同氏はこれまでの経験から、政権交代によって過去の汚職を水に流し、クリーンな姿に戻ることができるとは思っていない。

 サイレンを鳴り響かせながら車列に割り込む政府公用車は、アキノ政権下でずいぶん減ったが、それでも、日々、最悪な首都圏の交通渋滞に直面している国民の怒りを鎮めることはできなかった。アキノ大統領は就任時の演説で、国民に無関心な政府を批判したにもかかわらず、結局そうなってしまった。

 アキノ政権は確かに多くのことを為し遂げた。しかし、「不安定な生活からの脱出」という国民が望むことについては、ほとんど何もできなかった。(6月30日・マラヤ)

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