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5月30日のまにら新聞から

効率的な司法制度を 新政権の犯罪対策

[ 726字|2016.5.30|社会 (society)|新聞論調 ]

 ビサヤ地方セブ市の市長選を制したオスメーニャ元市長の、犯罪者を射殺した者に報奨金5万ペソを支払うという方針は、無法者たちを恐れさせている。一方で、人権活動家はこの方針が悪用されたり、私刑を促進すると懸念している。

 犯罪者の殺害が超法規的なのか、あるいは法に基づいているのかという議論が再燃している。なぜなら、6カ月以内に国内の犯罪や麻薬取引を根絶させると約束して有権者の目を引いたドゥテルテ・ダバオ市長が近く大統領に就任するからだ。

 オスメーニャ元市長に限らず、ドゥテルテ市長の型にはまらない犯罪対策を踏襲する自治体首長は他にもいる。こういった特異な犯罪対策は、欠陥のある現行の司法制度や政府の失策に対する不満の表れとされている。

 たいていの人は、現行法制が犯罪抑止に役立っていないと信じている。だから、ドゥテルテ市長が採用する大胆な方法が必要で、禁酒や子どもの夜間外出禁止令は治安維持に効果的なのだという。確かに、子どもの夜間外出禁止は、2014年から実際に施行した首都圏マンダルーヨン市で犯罪抑止に効果を上げている。

 一方、死刑制度はどうだろうか。国内外の多くの研究では、検挙率の改善や迅速な判決・収監といった方法と比べて犯罪抑止に貢献しないことが分かっている。

 検挙率改善と迅速な刑の確定は犯罪抑止に効果的だが、実現するためには、事件発覚からの証拠集め、犯人特定、無駄のない捜査、迅速で公正な裁判といった効率的な刑事司法制度が必要だ。私がかつて内務自治長官だったとき、司法プロセスの欠陥や官憲の怠慢が麻薬密売人を横行させると学んだ。それは、ドゥテルテ市長もいずれ知ることになるだろう。(24日・ブレティン、ジョエイ・リナ氏)

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