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5月2日のまにら新聞から

ギャンブルする国民 ドゥテルテ市長人気

[ 742字|2016.5.2|社会 (society)|新聞論調 ]

 ドゥテルテ・ダバオ市長はロックスターでも宗教リーダーでもないが、ソーシャルメディアで流れているビデオを見ると、市長が自分の汗を拭き取ったタオルを群衆に投げ入れると、支持者たちがそれを奪い合っている。同市長のレイプ被害者に対する発言が一部の市民の怒りを買ったが、最新の支持率調査でも彼は他の候補を引き離してトップを維持し、次期大統領になりそうな勢いだ。実業家を失望させる発言をしても、数十億ペソの銀行取引をしていたとしてもこのリードは逆転しそうにない。

 市長のこの人気ぶりは、国民が自分たちに望ましい変革を絶望的に追い求めているという状況がもたらしたものといわれている。つまりこの国のリーダーたちはいつも約束するだけで全く実行に移さないという現実があるからだ。アキノ大統領は自分こそが暗闇から明るい未来をもたらす変革のリーダーだと演出したが、6年たっても、結局、その約束は実現されず、国民を絶望させた。国民は今や、ドゥテルテ市長のような異端の政治家に希望を託し、ギャンブルしようとしているのだ。

 こうしたギャンブルには迅速な防御意識とカルト集団のような追従者が伴う。だからドゥテルテ市長に対する批判が出れば、それに相当する反撃が起こり、そこにはもう論理は通用しない。銀行口座での蓄財疑惑が出ると支持者たちは問題となった銀行の預金解約をするよう人々に訴えたりするのだ。

 フィリピン人は自分たちのリーダーを冷静な客観性に基づいて選ぶ国民ではない。むしろ強い利益供与を期待すると同時に、実物より誇大なイメージを当人に与えて溺愛するという傾向がある。こうして選んだリーダーが自分たちの期待を裏切った時、国民は再び変革という言葉にしがみつこうとするのだ。(4月30日・スタンダード)

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