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10月12日のまにら新聞から

ぬぐえぬ悪評  空港職員の恐喝事件

[ 725字|2015.10.12|社会 (society)|新聞論調 ]

 心の汚れた警官は、無実の市民から金銭を恐喝するため違法薬物の混入を仕掛ける。

 同じような不祥事が最近、マニラ空港で相次いだ。被害者の主張通りに解釈すれば、空港職員が搭乗客のかばんに銃弾を意図的に入れ、その口止め料として金銭を恐喝したという。

 宣教師の米国人男性(20)は9月半ば、マニラ発パラワン行きの国内便に搭乗するため、スーツケースをX線装置に通したところ「銃弾が入っている」と呼び止められた。口止め料を支払わなかったため6日間拘束された。要求された額は3万ペソ。無許可の銃弾所持は包括的銃器取締法違反の容疑で立件の対象となる。

 大統領府は「極端なケース」としてそれほど問題視しなかったが、同様の恐喝を受けた比系米人も会員制交流サイト「フェイスブック」に投稿したため、関与を疑われた職員2人が停職処分を受けた。一部下院議員はこの問題の調査に意欲を示している。

 マニラ空港第1ターミナルの改修工事はほぼ終わり、複数の外国の航空会社が第3ターミナルに移行したことも重なり、空港設備自体は良くなっている。しかし、それに伴う職員のサービスも改善されなければならない。

 空港職員はこれまで、外国人観光客が置き忘れた高価なかばんや貴金属などを横領し、汚職体質が深刻化しているとして国際社会からもやり玉に挙げられた。

 空港設備の管理は、玄関口として国のイメージを外国人に定着させるという意味で重要だ。世界の空港ランキングで「最悪」とのレッテルを貼られ続けたマニラ空港の職員たちもようやく、透明性の向上や快適で機能的な空港の重要性に気づき始めた。しかし、今回の金銭恐喝問題は、サービス改善に向けた取り組みを台なしにした。(7日・スター)

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