「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
30度-24度
両替レート
1万円=P3,820
$100=P5885

4月20日のまにら新聞から

早急な真相解明を ミルクティー死亡事件

[ 757字|2015.4.20|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏マニラ市の飲料水販売店で売っていたミルクティー「ホッカイドウ」を飲んだ2人が死亡、1人が意識不明となった事件は、不可解な事態に陥っている。事件発生から6日後、厚生省はミルクティーから毒物は検出されなかったと発表した。

 事件直後は食中毒が原因との推測もあった。しかし、食中毒の一般的な症状は、吐き気や下痢、微熱、頭痛などであり、口にして数分で意識を失うことはない。店内に設置された監視カメラの映像には、ミルクティーを一口飲んだわずか3分後に意識を失って倒れ、嘔吐(おうと)しながら床でけいれんする女性の姿が映っていた。交際相手の男性もひきつけを起こし、呼吸困難に陥った。味に異変を感じ、すぐに吐き出したため、この男性は命を取り留めることができた。店主も味見したわずか3分後にその場に倒れた。

 このような状況から、不衛生な店内や保存の不備などから発生した細菌によるものではなく、人間が短時間で死に至る猛毒がミルクティーに混入されたことは明らかだ。青酸カリなどシアン化合物が混入されていたとすれば、犯行は計画的に行われたことになる。

 厚生省はミルクティーから毒物を検出できなかったと発表したが、証拠隠滅の可能性はないのか。店主の息子が事件後、店に戻り、ミルクティーの入っていた容器を洗い流したとの情報もある。監視カメラの映像にも、容器を洗い、残ったミルクティーを捨てるよう従業員に指示する息子の姿が映っている。息子が異臭を放つ物質を約1カ月前に持ち込んでいたと証言する従業員もいる。

 今回のミルクティーによる死亡事件が解決されなければ、国民の不安は解消されない。合法的にまともな商売をしている同業者にも悪影響を及ぼしている。

 明確で早急な真相解明が求められている。(15日・インクワイアラー)

新聞論調