報道の自由守れるか 香港記者入国拒否
報道の自由を掲げる民主主義の国でありながら、フィリピンではジャーナリストはあらゆる困難に直面している。国内のメディア関係者は大虐殺の犠牲者として、銃撃され、生きたまま埋められたりする。名誉毀損(きそん)で訴えられたり、情報公開法を盾に政治家から突き上げられることも。
外国人ジャーナリストもこの国の大統領に質問を浴びせただけで入国拒否者のリストに入れられた。大統領府は当初、インドネシアのバリ島で昨年アキノ大統領に質問を投げ掛けた香港のジャーナリスト9人を入国拒否者のリストに入れたことを否定していた。
その否定が本当であれば、大統領府はリストを作成した入国管理局などの黒幕を探すべきであった。これらの幹部は今年5月に開かれた「世界経済フォーラム」の警備体制の一部として、数カ月前に今回の入国拒否者のリストを作成していたことを明らかにした。
実は、国家情報調整局のオントッグ局長がミソン入国管理局長に対し、入国拒否者のリストの作成を提案していた。来年マニラで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に関する取材を行う予定だった一人の香港人記者が入国拒否されたと苦情を訴えたのを受けて、オントッグ局長がリストの破棄を提案したという。大統領府も来年のAPEC会議に向けた記者の取材許可証の手続きが行われていない段階で、取材で入国拒否される者がいるはずはないと説明していた。
しかし、政府が数カ月間にわたりジャーナリスト9人を入国拒否する必要があるとみなしていたのは、アキノ政権のメディアに対する姿勢を示している。ピープルパワーを生んだ国として報道の自由を犠牲にせず政府首脳に取材させる方法があるはずだ。(28日・スター)