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9月1日のまにら新聞から

市場経済の開放を 憲法の改正問題

[ 738字|2014.9.1|政治 (politics)|新聞論調 ]

 憲法は改正すべきか。断固そうだ。ではアキノ大統領の任期は延長すべきか。断固反対だ。決してアキノ氏がそれに値しないとか、政策の継続が必要という理由からではない。憲法を改正することは、国家にとって大変重要で根本的なことであり、それには冷徹な理由付けと、当事者が情熱や関与から距離を置いていることが大切だ。改正によって個人が利益を得たり、特定の時代の要請に合わせるものであってはならない。

 憲法は国家を生かす血脈であり、政治的な動きに合わせるためにもて遊んではならない。実際、憲法改正は、選挙で選ばれた憲法評議会によって行われるべきだろう。「1987年憲法」がマルコス独裁政権に対する過剰な反応として生まれたことから、一般政策やイデオロギー面で詳細すぎるという問題はある。最近の国の成功で憲法の弱点にも注目が集まるようになった。グローバル化が進む中、市場経済開放の必要性は共通認識となりつつある。

 アキノ大統領は憲法改正について、新たな政策の方向性を決めるという視点ではなく、メディアをにぎわすための小道具として考えているふしがある。憲法改正を訴える多くの人々の関心に寄り添っているとは思えない。

 われわれの聞き取り調査では、実業家の85%以上が憲法改正による「経済自由化」を支持している。しかし、パルスアジア社の世論調査では、フィリピン人回答者のうち61%が、下院議長が提出した経済条項に限った憲法改正決議について聞いたり、読んだりしたことはないと答えている。これは多くの国民が大統領の判断に任せようとしている現状を示すものだ。上下両院議長は任期延長を改正事項に含めていないが、大統領もそれに歩調を合わせるべきだ。(28日・インクワイアラー、ピーター・ウオレス)

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