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9月16日のまにら新聞から

比人は不幸せ?

[ 733字|2013.9.16|社会 (society)|新聞論調 ]

国連報告書

 国連の2013年世界幸福報告書によると、フィリピン人は世界で「最も不幸せな国民」の一つだそうだ。驚くにあたらない。順位付けの基準に、「政府による汚職がない」「政治的圧力がない」などを採用しているからだ。

 対象156カ国中92位││前年の103位からはやや改善したものの、依然下位である。最も幸せな国民のトップ5は、デンマーク、ノルウェー、スイス、オランダ、スウェーデンだ。

 報告書は触れていないが、比人が「不幸せ」な主な原因は貧困だ。次の食事ができるかどうかを心配しなければならないなら、確かに幸せにはなれない。富裕層はどうだろう。門で閉ざされた地域の外に広がる悲劇に彼らの意識が及ぶことはない。状況が悪くなればいつでも海外に高飛びできる。もちろん、物質的な富で「幸せ」が保証されるわけではない。しかし、貧困は不幸せの象徴だ。

 報告書によると、トップ5や北欧の国民は同胞を信頼しているから幸せなのだという。比人が同胞を信頼しているかどうかは分からないが、少なくとも不正やスキャンダルのたびに政府への疑いの気持ちが増していく。

 もう一つの幸せな人生の条件は選択の自由である。雇用機会の不足と貧困は、選択の自由を極度に制限する。

 トップ5の国民1人当たりの収入は米国よりも多い。しかし、富裕層向けの大邸宅はなく、街を走る派手な高級車も少ない。人々が自転車で通勤、通学、買い物に行く光景には驚かされる。億万長者はごくわずか。一方、比には、世界の富豪番付に毎年のように登場する富豪が数多くいる。メディアは律儀にもこうした富豪たちの氏名と写真を巻頭で大きく扱い、読者がそれに誇りを感じるように仕向ける。我々は羞恥心で顔を伏せるべきだ。(13日・タイムズ)

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