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8月19日のまにら新聞から

原発政策の明示を

[ 693字|2013.8.19|社会 (society)|新聞論調 ]

深刻化する電力事情

 アキノ政権は、明確な原子力政策を打ち出す責任を回避しているようだ。30年近く前、フィリピン政府は東南アジアで初めて、原子力技術の開発に乗り出した。その後、チェルノブイリ原発事故が起き、政府はバタアン原発の稼働凍結を決断した。

 あれから20年以上が経過したにもかかわらず、政府はいまだに原子力に関する研究や行動指針を打ち出していない。休止中の原子力発電所の維持管理費として計上していた5千万ペソの年間予算が削除されたことは、政府がいかに近代技術に力を入れていないかを表している。ペティリア・エネルギー長官でさえ、この予算削除には困惑したものだ。

 原子力推進派で、パンガシナン州選出のコファンコ下院議員によると、コラソン・アキノ元大統領が発令した大統領令には「原子力発電所の今後の扱いに関する政府方針が決まるまで、国家電力公社が維持管理をする」と明記されている。その上で同議員は、バタアン原発の管理費を削除した予算管理省の采配に苦言を呈している。

 わが国では電力需要が伸び続け、とりわけルソン地方では厳しい電力事情に直面している。そうした中で原子力発電所の稼働は、実行可能な選択肢の一つになり得る。しかし、原子炉の安全性を証明するためにも、まず政府は総合的な調査を開始しなければならない。

 さらに重要なことは、専門家の協力を得て、現在も休止しているバタアン原発の再稼働の実現性を判断することだ。

 アキノ大統領はこの問題から逃げるべきでない。科学とは、さまざまな意見を交え、議論を深めるものだ。大統領は比の次世代に対して、説明責任がある。(16日・スタンダードトゥデー)

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