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2月25日のまにら新聞から

容疑者脱走とカネ

[ 702字|2013.2.25|社会 (society)|新聞論調 ]

護送車襲撃事件

 ルソン地方カビテ州で発生した護送車襲撃事件で国家警察は、中国人被告3人の行方をまったくつかめていない。同州トレスマルティレス市で公判に出廷するため、裁判所に向かっていた被告と刑務官を乗せた護送車を、武装集団約20人が襲い、3人を連れて逃走した。

 フィリピンでは、今まであまりにも多くの容疑者や受刑者が、拘置所や刑務所から脱走してきた。その理由はしばしば、職務怠慢やぽかではなくて、金絡みだった。麻薬密売の容疑者の場合、特にそういうケースが多い。

 麻薬密造所や隠れ家の捜査は、組織の下部構成員の身柄拘束にとどまり、幹部の逮捕につながることは少ない。

 まれに幹部が捕まった場合も、最高に警備が厳しいとされる拘置施設からも、まんまと脱走してしまう。保釈が許可されないはずの量の麻薬を取り扱ったとされる収監者が、保釈金を支払って、釈放されることもある。そして、悪質な入管職員が、麻薬密売に関わった容疑者の海外逃亡を許しているのだ。

 このような事態が続くと、フィリピンでは麻薬で得た金が物を言うという見方がさらに強まるだろう。麻薬密売は数十億ドル規模の産業となり、多くの国で上から下まで、刑事司法機関を腐敗させている。

 関係する金額が大きいため、多くの者が逮捕、死刑のリスクを背負っても、国際麻薬組織の手先になる。警察はこうした事情を十分認識し、まっとうな「疑念」を持って、カビテ州刑務所の看守を捜査すべきだ。

 終身刑の一審判決を受けた3人は、逃走に成功したようだ。収監者を逃がした看守らを捜査しなければならない。そして、彼らの関与が判明したら、処罰しなければならない。(23日・スター)

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