理由と対策を考えよ
低調な対比直接投資
約3カ月前、外資系企業による対比投資表明額と実際の投資額の差が埋まらないことを指摘した。2013年1月、スイスのダバオを訪問した際も、アキノ大統領は「フィリピンへ投資したいという申し出が相次いだ」と胸を張ったが、良質な雇用を生み出す工場や近代的農場建設向けの海外直接投資は、大統領任期の半ばに差し掛かった今も、実現していない。
海外直接投資の低調さは、数字を見ても明らかで、2012年11月単月は1億200万ドルと前年同月を2億ドル以上下回った。中央銀行は「良好なマクロ経済環境により、12年1〜11月期の直接投資額は12億ドルと、前年同期を1・1%上回った」というが、域内他国への投資額は同期、30億ドルを優に超えている。
国連貿易開発会議(UNCTAD)の世界投資動向でも、12年の対比投資は15億ドルにすぎず、インドネシアの192億ドル、マレーシアの100億ドル、タイの81億ドルを大きく下回った。
中銀の指摘通りに「外国人投資家がマクロ経済環境を好感」しているならば、対比投資はなぜ大幅に増えないのだろか。最初に挙げるべきは汚職。大統領1人がいくら正直者であっても、汚職を撲滅することはできない。
インフラ整備の立ち遅れも深刻だ。「官民連携(PPP)事業で公共インフラを整備する」との壮大な公約は今も実現されず、契約締結に至ったPPP事業はいまだ1件だけ。さらに、電力供給が経済発展に伴う需要増に追いつかず、ルソン地方でも数年以内に電力事情がひっ迫すると予想される。
大統領を含むリーダーたちは、その場逃れの言い訳ではなく、外国人投資家が比を避ける理由と対策を真剣に考えるべきだ。(14日・ビジネスワールド、ベンハミン・ジョクノ氏)