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12月10日のまにら新聞から

人権意識が低い

[ 728字|2012.12.10|社会 (society)|新聞論調 ]

 アキノ大統領が最近、アニョ陸軍大佐を昇進させ、国軍情報部長に任命したことは、人権被害者の家族に複雑な感情を引き起こした。この人物は、2007年に起きた人権活動家ジョナス・ブルゴス氏の誘拐事件に関与した疑いで、他の国軍兵士ら45人と一緒に告訴されているからだ。この事件は司法省検察局でずっと調査が続いており、ブルゴス氏の行方もいまだ分からない。

 今回の任命は、特にジョナス・ブルゴス氏の母親で、表現の自由のために戦った有名なジャーナリストだったホセ・ブルゴス氏の妻、エディタさんにとって二重の打撃だった。人権の擁護と政治の透明性確保を公約して権力の座に就いた現政権が、彼女たちに突き付けた現実だからだ。その分、エディタさんが受けた苦しみは大きい。新政権が発足した際、彼女は息子の失跡に関わった部隊に関する証拠が十分すぎるほど集まっていたこともあり、少なくとも新政権が国軍の浄化に乗り出すと期待したのであった。

 アキノ政権の人権問題へのこれまでの対応は極めてあいまいである。むしろ、関係者の神経を逆なでするような対応もあった。たとえば、大統領の率いる自由党が、来年5月の統一選挙で、あの大量虐殺事件の容疑者であるアンパトゥアン一族を候補者に担ぎ上げようとしていることが最近、発覚したのである。

 アキノ政権はまた、10年のノーベル平和賞に選ばれた中国の人権活動家の授賞式がオスロで行われた際、中国政府に配慮してフィリピン代表者の出席を見合わせた。この決定はフィリピンの国際的な評価を傷つけてしまった。エディタさんは「アニョ大佐の昇進は、人権侵害をそのまま続けても構わないという合図を送っているようなものだ」と批判している。(8日・インクワイアラー)

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