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11月26日のまにら新聞から

無知の危うさ

[ 720字|2012.11.26|社会 (society)|新聞論調 ]

人口抑制法反対演説

 まさに「生兵法はけがのもと」だ。英国の詩人アレキサンダー・ポープのこの詩を耳にすると、手に負えないソット上院議員の不正行為について考えさせられる。ソット議員は最近、人口抑制法案に反対する特別演説で、故ロバート・ケネディ米上院議員の著名な演説の一部を盗用し、謝罪をせざるを得ない状況に追い込まれた。

 当初、盗用を指摘されたソット議員は皮肉たっぷりに「ケネディ議員はフィリピン語が分かるのか」と反論した。演説文はフィリピン語に翻訳されていた。

 故ケネディ議員の娘、ケリーさんが「非倫理的で許されない行為」と強く非難したことを受け、ソット議員はようやく弱腰に。人権団体の代表を務めるケリーさんは、避妊法を選ぶという女性の基本的人権に反対するために、ケネディ議員の言葉をわい曲して使ったことに、特に怒りを覚えると話した。

 ソット議員は「ケネディ議員の家族を混乱させたなら謝る」と謝罪。しかし、借用しただけで盗用ではないと言い張っている。理由は①文章は携帯電話の文字メールで送られてきただけで、出所を知らなかった②自分が書いたとは一度も言っていない︱︱の2つ。上院議員が特別演説をする際、演説文が議員自身の言葉でないと誰が思うだろうか。

 盗用が問題になってもなお「神のおぼしめし」だと言って人口抑制法案に反対している。「私の行いが正しいと神は信じていると確信している。侮辱されてもいい。中絶を支持する者たちへの反対は変わらない」。またしても無知の露呈。同法案は中絶は違法だと指摘している。

 比政治の悲劇は、ソット議員のような、わずかな知識で甚大な損害をもたらす人物を権力の座に据えてしまうことだ。(21日・スタンダードトゥデー)

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