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7月16日のまにら新聞から

政治的聖者と偽善

[ 716字|2012.7.16|社会 (society)|新聞論調 ]

与党の候補取り込み

 2013年5月に迫った統一選で、政権与党自由党(LP)が、有力政治家の取り込みを続けている。理念や過去の経緯を傍らに押しやり、触手を伸ばす様子は「なりふり構わず」という表現がふさわしい。

 取り込みの対象は、再選を目指すレガルダ、ホナサン両上院議員。2人は、エストラダ元大統領とビナイ副大統領を中心とする野党連合「統一民族主義者連合」(UNA)からの出馬が確実視されているが、LPは有力候補を横取りして、自陣営のこま数不足を補おうとしている。

 ビリヤール上院議員の国民党(NP)、サンミゲル社のコファンコ会長が名誉党首を務める民族主義者国民連合(NPC)との選挙協力も模索中だ。アキノ大統領によると、連携は「グッド・ガバナンス(良き統治)など、(LPと)共通の理念を掲げているため」という。

 忘れてならないのは、2年前の前回大統領選におけるアキノ大統領の発言だ。有力候補だったビリヤール議員を退けるため、同議員とアロヨ前大統領の関係を「悪の密約」と批判したのは大統領自身だった。前大統領との関係が深かった政治家では、大票田セブ州を拠点にするドゥラノ家も、LPの取り込み対象となっている。

 さらに言えば、2001年1月の政変を「エドサ2」と呼び、アロヨ副大統領の大統領昇格を支持したのは、アキノ大統領や亡母コラソン元大統領、LP重鎮のアバド予算管理長官、ドリロン上院議員だった。

 政治はあくまで政治。選挙勝利を最優先する変わり身の早さは常である。問題は、アキノ大統領ら国の指導者が黄色のローブをまとった「政治的聖者」を装い「真っすぐな道」を説く偽善者になっていることだ。(9日・トリビューン、ニネス・オリバレス氏)

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