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3月12日のまにら新聞から

目立つ論功行賞

[ 705字|2012.3.12|社会 (society)|新聞論調 ]

与党議員親族の任命

 与党自由党議員らアキノ政権をもり立てる政治家への論功行賞が目立つ。コロナ最高裁長官の弾劾裁判で検察団を率いるトゥパス下院法務委員長の父が、国家石油公社(PNOC)の取締役に任命され、同委員長のきょうだい2人も比慈善宝くじ協会(PCSO)顧問と農務省高官になった。

 さらに、弾劾裁判で検察団を務めるタニャダ下院議員の父が、ユナイテッド・ココナツ・プランターズ銀行(UCPB)子会社の会長に任命された。

 大統領が暗黒世界の流儀に沿って議員たちに話し掛けている「いつかは、この論功行賞のお返しをしてもらう」という声が聞こえないだろうか。そして、この声に応えるように弾劾裁判で議員たちは、法を犯すリスクを抱えてまで、大統領の意に沿おうとしている。

 自分の親族を政府の要職に就けるとしたら、大統領は慎重になるかもしれない。縁故任命を慣例化させるのは危険だからだ。しかし、政治仲間の親族は別のようだ。

 先の大統領選で功績を挙げたアバド予算管理長官の息子と娘も政府の要職に就いた。下院議員を務める同長官の妻も下院の有力委員会でスポットを浴びている。大統領選でアキノ大統領を応援した歌手の父は、国家石油公社子会社の会長に任命された。

 政府は、「これら被任命者には資格がある」と反論した。しかし9千万人もいる国民の中で、本当に彼らは有資格者なのだろうか。

 政治的な盟友やその親族を要職に任命しては、有力一族同士で政略結婚を続けた封建時代に逆戻りだ。この時代には、政略結婚により一族の既得権益を守ろうとした。国民は、大統領が仕掛けた身内びいきに対価を支払うことになるだろう。(9日・スタンダードトゥデー)

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