産業構造の多様化を
11年の輸出不振
2011年通年の輸出額は前年比6・9%減となり、政府予測値の9〜10%増を大きく下回った。「12年は回復する」と政府は強調するが、世界的な経済低迷が続く中、輸出を増加へ転じさせるような要素が、一体どこにあると言うのだろう。輸出減は、製造業の生産低下と工場閉鎖、雇用不安に直結する。それ故、輸出減の軽視は途方もない失策につながり得るのだ。
「回復する」との政府予測を否定する要因の一つは、国内輸出産業が深い穴に落ち込んでいること。11年4月まで前年同月実績を上回っていた輸出額は、翌5月から前年同月を下回り始めた。特に9月以降は、前年同月比27・0%減(9月)、14・6%減(10月)、19・4%減(11月)、20・7%減(12月)と落ち込み幅が拡大し、今年1月以降もこの傾向は続くとみられる。
政府は、輸出不振の原因に東日本大震災などによる日本経済の停滞、欧州債務危機、不安定な中東情勢などを挙げる。しかし、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内他国の輸出額は11年、インドネシア前年比29%・0増、マレーシア同8・7%増、ベトナム同33・3%増、タイ17・2%増と伸びており、落ち込み原因がこれら「国外要因」以外にあるのは明らかだろう。
比の輸出が電子機器・部品部門に極度に依存していることも問題だろう。輸出額全体に占める同部門の割合はほぼ3分の2。政府関係者は随分前から、国内輸出産業の多様化が必要と口にしてきたが、今こそ、その言葉を実行すべき時だ。また、「アジア市場の成長」を前提にした輸出拡大策にも落とし穴がある。なぜなら、中国やシンガポールなど域内他国も先進国向け輸出産業が中心で、日本や欧米における経済停滞のしわ寄せは、結果的に比へ回ってくる。(13日・マラヤ)