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2月20日のまにら新聞から

裁判の結末を示唆 

[ 728字|2012.2.20|政治 (politics)|新聞論調 ]

弾劾裁判所決定

 コロナ最高裁長官弾劾の可否を審理する弾劾裁判所(上院)が、外貨建て口座の証拠提出をめぐる最高裁仮処分命令受け入れを決めた。全上院議員23人による採決結果は、受け入れ賛成13人、反対10人。際どい結果ではあったが、上院側の譲歩により、三権を構成する立法府と司法府の対立は緩和されるだろう。

 最高裁命令受け入れに賛成した13人は、エンリレ議長やアロヨ、サンチャゴ、ビリヤール各議員ら。反対はアランピーター・カエタノ野党院内総務やドリロン、オスメーニャ各議員ら。採決結果は、各政党の連携関係を示すモザイク模様を描き出し、さらには8項目の罪状でコロナ長官を訴追した弾劾裁判の結末さえも示唆したように思える。現政権の望む長官弾劾を実現するには、全上院議員の3分の2以上、つまり少なくとも16人が「有罪」の評決を下さなければならないが、政権与党自由党(LP)所属議員は4人にすぎない。

 弾劾成立には他党所属議員の取り込みが不可欠なわけだが、この現政権・与党の状況を象徴するような出来事が採決前日に起きた。それは、コロナ長官弁護団による「上院議員懐柔疑惑」の暴露で、「現政権は補助金1億ペソと引き換えに、最高裁命令拒否を一部上院議員に働き掛けている」との内容だった。

 この疑惑が事実ならば、マラカニアン宮殿の意向に逆らう格好になった上院決定は、「弾劾裁判に介入するなかれ」との警告を現政権周辺へ向けて発した。また、2011年11月、アロヨ前大統領=現下院議員、選挙妨害罪で未決拘置中=らの出国をめぐり、最高裁の差し止め命令を無視した司法長官らに対しても、「司法の独立を侵すなかれ」と警鐘を鳴らしたと言える。(15日・インクワイアラー、アマンド・ドロニラ氏)

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