道徳と法律を区別するな
最高裁長官弾劾裁判
コロナ最高裁長官の弾劾裁判は、最初の1週間を終えた。国民が期待したものは何もなく、10年以上前のエストラダ元大統領の弾劾裁判の時のような騒ぎにもならなかった。
比で弾劾裁判が行われるのは今回で2回目。1回目の裁判から学んだことが本当ならば、各議員は審理を精査し、規則に従って投票するだろう。比の議会は、恐らく歴史上で論理的完結を見る最初の機会だ。
政権与党自由党(LP)を中心とする下院議員が、同長官に対する弾劾発議書に同意・署名した時から、両陣営はそれぞれの立場で問題点を糾弾し始めた。
同長官側は、下院で弾劾手続きが強行されたことに政治的な力が働いたと非難。憲法や三権分立、司法の独立性を脅かしたと指摘した。対する与党側は、すべては国を良くするためと主張。弾劾手続きは、民主主義の制度やその手続きを強化するものだとした。
両陣営は、民主主義と良き統治のために議論していると主張している。しかし、この1週間の議論は、政治と法律、政治過程と法の履行についてだった。
一方が他方より優勢であるかのように、道徳と法律は区別され、まるで両者は共存できないかのようだ。これでは法律が、良いことを嫌う真空状態で作られたようで、一連の手続きは私たちをあざけっている。
真実から遠ざかってはいけない。
何が合法で何が道徳的なのか、二元対立は政治的な手段でしかなく、民主主義の強化にはならない。
この裁判は、事実を元に話し合うべきだ。評決が有罪であれ無罪であれ、それはわれわれすべてに分け与えられるものだ。(21日・スタンダードトゥデー)