当局による犯罪事件
再発防止の手を打て
国家捜査局(NBI)のガッドゥラ局長が19日、日本人女性に対する違法監禁容疑などで更迭された。当局の上層部は、警察官など捜査員の動きを監視する必要がある。司法省は同日、アキノ大統領による更迭を確認し、比当局は権力を悪用しないと保証した。
司法省調査チームによると、同前局長は、NBI幹部らが主導した日本人女性の身代金目的拉致事件を把握していたとみられる。
女性は2009年、日本の犯罪組織から逃れるため来比したとされる。ルソン地方パンガシナン州の比人家族宅で生活していた昨年10月、入国管理法違反容疑で、NBI幹部らに拘束された。幹部らはその後、比人家族から計600万ペソを恐喝したとされ、同前局長はその事実を隠ぺいしたという。
比では、捜査当局による組織的犯行や当局に属する個人による恐喝事件が起きている。一般の比人や外国人に対しても、同様の恐喝を犯す。捜査関係者が恐喝で逮捕されたのは今回が初めてではない。外国人は、金を持っているだけでなく、恐喝被害に対して告訴を恐れる傾向にあり、絶好のターゲットになっている。たとえ恐喝が見つかり捜査の手が及んでも、犯行グループは、容易に海外に逃亡してしまう。これまで入国管理局職員は海外逃亡を手助けしてきたとして悪評を買っている。
今回の事件で唯一の救いは、事件に関与したとされる者が告発されていることだ。同前局長は、法廷で裁かれるだろう。今のところ、NBI幹部ら計15人が告発されている。
事件を調査した司法省は、別の捜査機関でも同様の犯罪が繰り返されないよう対策に着手しなければならない。ほかの重大犯罪と同様に、犯人の逮捕を怠ると比に犯罪がはびこることになる。(20日・スター)