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11月14日のまにら新聞から

緊迫感を持て

[ 713字|2011.11.14|社会 (society)|新聞論調 ]

社会問題化する犯罪多発

 比国内で起きる犯罪は日常茶飯事で、新聞上では政治などの主要ニュースの下に隠れていることが多い。だから大半の国民はその事実に注意を払おうとしない。殺人事件などの場合には視聴者や読者は肩をすくめるだけで、被害者や犯人の知人ぐらいしか気にかけないだろう。

 しかし、最近起きた人気歌手のチャリースさんの父親、レビリア元上院議員の息子が殺害された事件の衝撃は、犯罪が社会問題化している実態をあらためて思い起こさせてくれた。

 犯罪は世界中で起きる。だからといって比国内での犯罪多発の言い訳にはならない。問題は、犯罪防止に対する政府の認識だ。それは投資先、あるいは観光先として外国人を不安に陥らせないだけでなく、政府の責務である。

 では、政府は犯罪防止に向けた取り組みを実施しているのだろうか。犯罪防止につながる法律は十分整っているはずだが、法律を執行する機関に欠陥がある。汚職、職権乱用、捜査の不徹底は国家警察に限ったことではない。

 レビリア元上院議員の息子が殺害された事件で、容疑者として逮捕された実弟の姉を出国させたのは明らかな過失だった。犯罪に関与したか否かを立証するため、警察の取り調べに応じなければならなかったはずだ。

 警察などの治安当局、あるいは大統領府や他の関係省庁は、犯罪を誘発する現状に疑問を投げ掛けてほしい。治安当局の能力向上には何が不可欠か。政治家の汚職調査だけでなく、国会議員は犯罪防止に必要な新法案を提示すべきだ。そして裁判官は、審理遅延を改善する妙案を捻出すべきだ。

 すべてを根本から見つめ直す時期にきている。指導者たちが緊迫感を持って取り組み始めるよう望んでいる。(9日・タイムズ)

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