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11月14日のまにら新聞から

同情か正義か

[ 749字|2011.11.14|社会 (society)|新聞論調 ]

前大統領の海外療養問題

 アロヨ前大統領=現下院議員、選挙妨害容疑などで告発=の海外療養目的の出国可否をめぐる大半の議論は耳にした。前大統領の出国を認めるべきか否かについて、双方が繰り広げている言葉巧みな理由付けは少なくとも理解しているつもりだ。

 議論の中心は、①人道的措置として前大統領の出国を認める②不正疑惑の追及を免れないよう出国を認めない︱︱の2点に絞られる。

 この状況は、アキノ大統領の父、アキノ元上院議員が心臓病の治療目的で海外出国を要請したマルコス政権時とほとんど同じである。私の記憶が正しければ、マルコス元大統領は、同元議員とその一家の出国を認めた。実際、米国でのアキノ一家の生活は最も幸せな瞬間だったに違いない。 

 今回の出国問題でもそうだが、なぜこのような状況に対処できる基本的制度が整っていないのだろうか。制度が確立していれば、人道的措置を求めて演技をする必要はない。 

 告発された人物の出国を認めるには条件が必要だ。最低でも、訪問対象国とは犯罪人引き渡し条約を結んでいなければならない。私自身は人道的措置による前大統領の出国許可の方向に傾いたが、対象国はいずれも同条約を結んでいないという。国民の間でも意見が分かれており、正しい答えを現段階で断言することはできない。 

 恐らくは正義感がそうさせるのだろうが、不正疑惑はもみ消されるべきではない。

 一方、たたきのめされた人間をこれ以上痛めつけないのは比人の美徳でもある。海外で病を完治できるのであれば、前大統領を国内で苦しませるのは酷だ。父親の出国を認められたアキノ大統領自身がそれをよく知っているだろう。誰も傷つくことなく、見事な裁決が下されることを望んでいる。(10日・マラヤ、ロメオ・リム氏)

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