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8月8日のまにら新聞から

ごまかしの発表

[ 728字|2011.8.8|社会 (society)|新聞論調 ]

海兵隊員31人死傷

 国軍によると、海兵隊員30人が、スルー州の森の中、70人の武装集団に遭遇し、約5時間の激戦の末、隊員7人が死亡、21人が負傷した。頭部を切断された隊員は当初5人と報じられたが、国軍は「頭部切断2人、激しく切りつけられた隊員5人」に修正した。相手側はというと、「情報部によると死亡したアブサヤフは20人。13人の身元が判明しているが、遺体はアブサヤフが持ち帰ったため数えられていない」。国軍はどれだけおかしなことを言っているのか気付いているだろうか。国軍はさらに「本拠地制圧」「戦略的勝利」と表現してみせた。名前は分かるが、持ち去られたので20人死亡を証明する遺体はゼロ?この作り話を誰が信じるだろう。

 危険なテロリスト集団に立ち向かい命を懸けて戦った海兵隊員の勇敢さは疑う余地がない。国軍は自らの情報収集能力のなさを露呈し恥をかいてでも、事実をごまかすようなことをやめるべきだ。そうすれば、無意味な人命や資源の犠牲を防ぐことができる。

 国軍は海兵隊員らが足を踏み入れたその場所が何であるか事前に把握もしていなかった。

 長年の対アブサヤフ掃討は、ただでさえ不足している国の資源だけでなく、和平と国防も奪った。多数の兵士の命を犠牲にし、一方で住民らは交戦に巻き込まれはしないかと恐怖に駆られている。巨額を投じた国軍の「情報収集」活動は終わりの見えないこの戦いでどんな成果を見せたのか。

 国軍はまたも繰り返す。「兵士の犠牲は無益にしない。スルーの海兵隊はテロ撲滅のゴールに近づいている」。具体的にはどれだけ近づいているのか。少なくとも、海兵隊員らは真実のためにその命を犠牲にしたはずだ。ごまかしはやめ、真実を公表せよ。(3日・インクワイアラー)

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