求められる公正さ
選挙不正疑惑調査
辞職でズビリ上院議員は極めて異例なデリカデサ(つつしみの心)を見せた。一方、同議員の当選に異議を申し立てたピメンテル氏の弁護士を務めたデリマ司法長官とブリリャンテス中央選管委員長は、デリカデサを見せなかった。既に2007年上院選の不正疑惑について、結果を決め付けている2人が主導する疑惑調査が公正なものになるはずがない。
同長官は、ズビリ議員が不正に関与した可能性は残っており、辞職後も調査対象になると発表した。
デリマ長官は13年上院選に出馬するといわれている。上院選では現職組が再選を果たす傾向が強く、ズビリ議員、ピメンテル氏が再び争うことも考えると、レースは非常に厳しいものになる。ズビリ議員は辞職で選挙に向けさらに力を増した。デリマ長官は、仕掛けた「わな」をはずすべきだ。同議員の辞職が上院選で自身の首を絞めかねない中、同議員を不正疑惑調査を機につぶしてしまおうという意図は明白。同長官は、調査はピメンテル氏とは無関係という。本当にそうだろうか? だんまりを決め込んでいる大統領府の意図は明らかに「敵」と「障害物」に向けられている。
ズビリ議員辞職の背景には、リャマス大統領顧問による圧力がある。サルディ・アンパトゥアン・イスラム教徒自治区前知事、マギンダナオ州選管のベドル元委員長、ガルシリアノ元中央選管委員の会見や証言を望む立役者だ。07年上院選では上位6人にも入らず、政治的存在感が皆無だったアキノ前上院議員がなぜ10年大統領選の候補になり当選してしまったのか。不正疑惑を公正に調査するなら、10年大統領選も含めるべきだ。なぜなら、同選挙では多数の不正が行われたからだ。(6日・トリビューン)