対中関係の改善を
共通利益追求が得策
アキノ政権は、南シナ海の南沙(比名カラヤアン)諸島領有権問題で、中国に対し攻撃的な姿勢に出ている。アキノ大統領は聖週間前に資源探査が行われる比西海岸沖を、沿岸警備隊に警備するよう指示した。4月初旬には、国連に抗議文書を提出した。バス乗っ取り事件の事後対応や、台湾人14人を中国に強制送還した昨年の融和姿勢とは対照的だ。
南沙諸島と排他的経済水域(EEZ)を、比の領土と主張することに異論はない。問題は、今回の行動が国益に寄与しているかどうかだ。大統領に説明を求めたい。
比の資源探査船が南沙諸島北部のリード(比名レクト)礁付近で中国の哨戒艇に妨害された事件は、偶然の出来事のようにみえる。しかし政府は、外交抗議や沿岸警備の強化という形をとった。
アキノ政権は、中国が比にとって貿易や援助、投資の機会を併せ持つ相手国であることを認識しているのだろうか。中国人は大金を持参して、比と友人になることを切望しているようにもみえる。大統領が推進する官民連携(PPP)を前進させるには、外国資本が必要である。
政府は経済的、軍事的超大国と友好関係を育むために領土的な不和を起こすべきではない。
中国は、脅しと成算を硬貨の両面のように、うまく使い分ける。政府がとるべき対中行動は、簡潔に国益を追求することだ。中国と友人になる一方、強硬な姿勢に出るのも国益を考えての上のことだ。
比は南シナ海の利権で反目するより、共通の利益を探し求めるほうが得策だろう。アキノ政権の対中政策が、短期・長期の国益に基づいていることを願う。(26日・タイムズ)