汚職問題が障害に
国軍近代化予算
比米合同軍事演習を視察した後、アキノ大統領は国軍の装備を充実させると約束した。国軍近代化に110億ペソを振り向けるというのだ。この資金は海軍の軍艦や空軍向けヘリコプター、陸軍向けのライフルの購入費用に充てられる予定だ。たとえ新品でなくとも、アジアで最も貧相だと言われる国軍の軍備を少しでも改善することにつながれば歓迎すべきであろう。
しかし、国軍はもし予算を合法的に使用していることが証明出来たなら、もっと予算を得ることができるはずだ。国軍を震撼(しんかん)させた汚職疑惑が明るみに出た今、この問題がもっとも重要なのだ。現在の国軍幹部はこれまで汚職を許してきたシステムや調達方法を破棄し、透明性の確立に向け改善したと強調している。しかし、国民の認識を変えて信頼を勝ち取るためには時間がかかる。最近の世論調査でも国軍が政府機関でもっとも汚職のひどい機関だという評価が出てしまった。税収を取り扱う政府機関や公共事業道路省などよりも悪い結果だった。
確かに、国軍や国防省における入札や調達に関する規則が最近、修正された。いくつかの国軍の部署が自分たちの入札や予算支出について情報をホームページで公表するようになり、会計検査機関が容易に監査できるようになった。また、国軍予算もこれまでのように参謀総長に一括で下りるのではなく、各地方本部に直接、支出されることになった。会計検査院も汚職にまみれた国軍将官と担当検査官との癒着を防ぐための施策を開始した。
これらの努力が実を結べば、国軍は近代化予算の獲得がこれまで以上に簡単になるだろう。国は信頼に値する国防能力を必要としている。この必要を満たすのに国軍の汚職が最も障害となっていたのである。 (15日・スター)