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1月17日のまにら新聞から

自然の猛威

[ 736字|2011.1.17|社会 (society)|新聞論調 ]

降り続く雨の中で

 雨、雨、雨。近頃は、どこにいても雨だった。ある人は神話の鳥にちなんだ季節風「アミハン」が吹き込んでいると言い、別の人は海面水温を下げる「ラニーニャ」の影響だと言う。気象庁は雨雲、冷気、雨をもたらす風などの現象について解説した。一方、洪水が家屋や穀物に被害をもたらし、被災した地方の自治体の当局者たちは新年早々、厄介な問題を抱えることになった。ミンダナオ、東ビサヤ、ビコール各地方では、雨が降り続く大気状況となっている。

 昨年末の12月31日、私はミンダナオ地方カミグイン島沖の船上にいた。島は森と緑に覆われていて、火山は活動を休止していた。ところが、そのうち海面に白波が立ち始めると、牧歌的な風景はすぐに眼前から消えた。読書をして気持ちを紛らわせようとしたが、間違いだった。私は暗い気持ちになり、吐き気さえ催し始めた。間もなく雨が島を覆い、私が島を離れる1月5日まで、朝も夜も絶え間なく降り続いた。しかし、新聞もインターネットも手元になかったから、雨がこんなにも甚大な被害をもたらしているとは気付きもしなかった。だから降りしきる雨の中、近くのビーチに出掛けた。

 夜はビーチハウスの屋根を叩く雨の音を聞きながら眠り、昼間は窓越しに増水する川と、泥土、木々をなぎ倒さんばかりの風の音を聞きながら、何時間も過ごした。それでも私は気楽に考えていた。首都圏に戻る朝、フェリー乗り場に行くと、降り続く雨の中を、カガヤンデオロ州とカミグイン島を結ぶフェリーは時間通り運行していた。

 私たちはコインの裏側を見ていない。洪水で避難し、避難所での不快さ、空腹、被災した地方の公務員の苦労。様々な顔を持つ自然と、それを体験する人々がいる。(14日・タイムズ、イサベル・オンピン氏)

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