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4月5日のまにら新聞から

急上昇の予感

[ 715字|2010.4.5|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領選テオドロ候補

 政権与党ラカス・カンピCMDの大統領候補、テオドロ前国防長官の突然の同党首辞任は、額面通りに受け取れる話ではない。テオドロ候補は辞任理由として、「党首として仕事が多く、他候補と違って地方や地元での選挙活動に時間を割くことができない。選挙活動に全力を注ぎたい」と話した。筋の通った説明に聞こえるが、問題は世間に渦巻く「テオドロ資金不足」の見方だ。国で最大、最強の党組織が実はそれほど能率的に機能していないとの認識もある。党内には私的な理由で同候補を支持する勇気を持てず、決断できない者も多い。アロヨ大統領と国民党の大統領候補、ビリヤール議員の密約は周知の通り。

 わたしは最近までビサヤ地方西ネグロス州バコロド市にいたが、熱狂的にテオドロ候補を支持する同市の市民グループから、愛党心の強さで知られる同党のプエンテベリャ下院議員でさえもどっちつかずの状態だと聞いた。同市では、市民の力が同候補を後押ししている。

 さらに、ラモス元大統領は最近、「支持率世論調査で遅れをとっていても心配いらない。さらに努力すればいいだけだ」との意見を述べ、独特のなぞめいた物言いの中で、同候補に「わたしの忠告に従えば必ず急上昇する」と伝えたという。同候補を支持する異なる政党所属の全国50人の知事たちが、選挙活動での同元大統領の絶対的役割を要求する声を上げているとの報告もある。

 市場向けの大統領候補人気を上昇させるのに十分な権力を持つ政権与党の自己矛盾があらわになるのは時間の問題だ。テオドロ候補が一政党の候補ではなく、国民を代表する大統領候補になれるかもしれないという見方が浮上しつつある。(4日・インクワイアラー、ベリンダ・クナマン氏)

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