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12月7日のまにら新聞から

取りつかれた大統領

[ 714字|2009.12.7|社会 (society)|新聞論調 ]

下院選出馬

 2007年の施政方針演説の前、アロヨ大統領は任期満了後の進退について質問された際、「誰にも分からない。故郷で下院選に出馬するかもしれない」と答えた。2年後の施政方針演説でも、政界での進退に関する明言は避け続けた。そんな中、アロヨ大統領はボニファシオデーに「同郷者の求めに応じて」として、ルソン地方パンパンガ州での下院選出馬を表明。

 翌日に立候補届を出すと同時に、大統領府は、アロヨ氏が故郷に集中し、後継者にテオドロ前国防長官を選んだと宣言した。歴史は、アロヨ大統領が特定の目標を追求したわけではなく、自らの政治的生き残りへの選択肢をひたすら模索した指導者だったと記録するだろう。

 任期を終える大統領が政界に残るのは前代未聞。オスメーニャ、キリノ、ガルシア、マカパガル各元大統領らは再選を国民から拒絶された。任期通りに1期で退いた大統領の中でもアキノ、ラモス両元大統領の引き際に混乱はなく、国民の信頼を深めた。これに対してアロヨ大統領は権力を完全放棄できず、恥も外聞もなく、再選可能な下院選出馬を選んだ。

 パンパンガ州の有権者は忠誠心からアロヨ氏に一票を投じるだろう。副大統領選、上院選よりも下院選出馬のほうが当選する確率が高いことも確か。大統領に分別のなさという罪の意識がないことも疑いない。

 そこで、われわれはアロヨ大統領に慎み深さと公務への責任感、そして国を思う心があれば、次のように要求したい。「即座に辞任し、今後の数カ月間、下院選に全力で取り組み、保身に向けた権力乱用に走らないように」と。10年以降の政界残留は保身と刑事免責が真の狙いだからだ。彼女は何かに取りつかれている。(2日・インクワイアラー)

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