卒業証書乱発を防げ
教育の質と高等教育委
過去10年間、司法試験で1人の合格者も出せなかった法科大がある。高等教育機関の監督官庁、高等教育委員会は、カリキュラムの質に問題があったとして、少なくとも法科大7校を閉校させる方針だ。
一部有名大は「司法試験の合格者数だけで大学の良し悪しを判断するな」と主張する。しかし、「10年間、合格者ゼロ」は、質の悪さを示す指標としては十分だろう。
同委員会の対応は歓迎すべきだが、閉校決定まで、なぜ10年もの歳月を要したのか。たとえ、1年でも司法試験合格者の出なかった法科大があれば、校名を公表するなどして警鐘を鳴らすべきだった。
なぜなら、比国民は子供たちの教育に特に熱心で、可能な限りの資金をつぎ込もうとするからだ。より良い教育がより明るい未来をもたらすと信じ、また、きょうだいの中で最も聡明(そうめい)な子1人に教育資金を集中し、その子が残りのきょうだいの教育・生活費を背負ってくれると期待する。この希望が、金もうけのため卒業証明書を乱発するような教育機関の存在によって踏みにじられてはならない。
大学など高等教育機関はここ数年、雨後の竹の子のごとく数を増やしている。その半面、司法や看護など国家試験の合格率は低下し続けている。教育の質が低下していることを物語っているが、お目付役である高等教育委員会の監視・調査体制は予算不足から十分とは言えない。
体制の充実を図るには国会議員ら政治家の理解と協力が不可欠だ。しかし、数年前、一部看護学校に閉鎖命令が出た際、あの手この手で同委員会に横やりを入れたのは、ほかならぬ政治家たちだった。(25日・スター)