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8月10日のまにら新聞から

米国の家臣?

[ 697字|2009.8.10|社会 (society)|新聞論調 ]

比米首脳会談

 アロヨ大統領はついにオバマ米大統領との首脳会談にこぎつけたが、それで結果よしとは言えなかった。この会談で米大統領はまるで宗主国のようにアロヨ大統領に対し「任務」を与えたのだ。

 オバマ大統領は会談で、「両国の関係は長く、条約や貿易、軍事関係にとどまらず、人的交流に支えられている」と指摘。その上で、「アロヨ大統領の対テロ政策やミンダナオ紛争の解決努力を評価している。フィリピンが米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係強化に向け調整役を果たしてくれることを期待している」と述べたのだ。

 これに対し、アロヨ大統領は米大統領の隣で笑顔を見せながらただ座っていただけ。ちゃんと聞いていたのかも疑問である。これらの言葉を聞いたASEAN首脳たちは陰で笑っていたに違いない。フィリピン人の中には「オバマ氏よ、ちょっと待て。私たちはもはや米国の植民地ではないのだよ。比を米国の調整役に任命するなんて筋違い。アロヨが引退したら彼女をASEAN担当大使に任命するのは良いとしてもだ」と反応する者がいただろう。

 オバマ大統領が比をASEAN向けの調整担当国に任命したことは、私たちのプライドと相いれない。もう米国の家臣ではない私たちをどうするつもりなのだろうか。

 オバマ大統領が自国とASEANとの関係構築をアロヨ大統領に任せたことは明らかに間違いだ。アロヨ大統領は即座にミャンマーに対する米国の立場に同調すると答えているが、これは他のASEAN諸国の立場とはすでに異なっている。比米の主従関係はうまく構築できたとしても、それ以外の関係構築に比がはたして寄与できるだろうか。(4日・マラヤ)

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