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1月12日のまにら新聞から

UPの水準向上を

[ 747字|2009.1.12|社会 (society)|新聞論調 ]

教育予算分配問題

 上院議会がフィリピン大学(UP)への予算割当額を三億六千三百万ペソ増額し、計六十八億ペソに引き上げた。増額決定は、上院議員の間にUP卒業生が多いためだろうか。それは違う。

 この決定でやり玉に挙げられているのは、上院財務委員長で、元UP学長のアンガラ議員。この国に一体何校の公立大学があるのだろうか。その数は百校を超え、国会議員たちが教育予算問題も考えずに、次々と三流大学を誕生させている。

 東サマール大学は今回、予算額が六十四万三千ペソ追加された。東サマール州は国内で最貧州というのがその理由。確かに、同大学の存在を尊重せねばならないが、同大学が公立大学にふさわしいかと言えば、問題は別だ。

 UPにも問題がある。ディリマン校の「女性研究センター」といった類は、先進諸国の真似にすぎない。どのような価値があるのだろうか。

 今必要なのはより進んだ教育を施せる国立大学であり、私立大学が行っているような基礎学問の提供ではない。 

 端的に言おう。この国が必要としているのは、優秀な人材が集まり、より高度な研究ができる教育施設なのだ。UPこそ、それにふさわしい大学だ。UPにこの国の優秀な人材を結集し、国民そして社会に貢献できる人材を育て、輩出させることだ。

 予算も限られ、優秀な教授陣もおらず、施設も不足している大学から卒業生を増やすよりは、よっぽど国のためになる。

 だが、下院はUP向け予算増額の上院決定に反対すると言われる。その理由は何か。UP卒業生でもあるザモラ下院野党院内総務が、いみじくも言い当てている。「自らの家名が付いた地方大学の予算が大幅削減された下院議員が、果たして、上院案を認めるだろうか」 (7日・マラヤ)

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