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10月27日のまにら新聞から

「三博士」の野望か

[ 748字|2008.10.27|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領弾劾申し立て

 アロヨ大統領に批判的な立場を取るスプリコ・イロイロ州副知事とデベネシア前下院議長の息子、ロケ弁護士の三人が大統領弾劾を申し立てた。分厚い申し立て書を抱えて下院議事堂を行く三人はまるで司教を補佐する侍者のようで、わたしはキリスト誕生時に黄金などの贈り物を持ってきた「東方の三博士」と副知事ら三人の姿を重ねた。

 ただ、「パロディー劇」には続きがない。なぜなら、「現代の三博士」は、国をさらなる混乱へおとしめる分厚い書類を持っているだけで、決して比国民には贈り物をもたらさないからだ。さらに悲しいことに、三人は弾劾申し立てがごみ箱行きの定めにあることを心の内では知っているのだ。

 ごみ箱行きの理由は、①弾劾裁判所設置には全下院議員(二百四十人)の三分の一以上の賛成が必要だが、下院野党の現有議席数は二十八にすぎない②弾劾は「数字ゲーム」であり、与党が優勢な限り、成功しない③アロヨ大統領の残り任期は一年半で、たとえ弾劾裁判所が設置されたとしても審理の時間はない④金融危機の最中、もはや死に体同然の大統領弾劾に貴重な時間を費やすべきではない︱︱の四点。

 それでは絶望的ともいえる状況下で、なぜ弾劾を申し立てるのだろうか。

 スプリコ・イロイロ州副知事ら三人は次期上院選(二〇一〇年五月)への出馬が有力視されており、特にデベネシア前下院議長の息子は既に選対委員長に元ジャーナリストを任命して立候補準備を進めているという。スプリコ副知事とロケ弁護士も国家ブロードバンド事業疑惑と肥料基金不正流用疑惑で、メディア受けを狙ったスタンドプレーが目立つ。つまりは、「紳士三人の政治的野望」のための安っぽい弾劾申し立てにすぎないのだ。(21日・タイムズ、アリト・マリナオ氏)

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