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10月27日のまにら新聞から

リスクの代償は何か

[ 706字|2008.10.27|社会 (society)|新聞論調 ]

巨額ユーロ所持事件

 モスクワ・シェレメチェボ国際空港で巨額ユーロを国外に持ち出そうとした疑いで一時拘束されたデラパス国家警察元会計検査局長が帰国直後、「比の国際的対面を傷付けた」と謝罪した。これは正しい対応だ。しかし、事件を「謝って済むようなささいな過ち」と思っていたならば、それは大きな間違いだ。

 デラパス氏によると、国家公安委員会に認可された出張旅費二百三十万ペソとは別に、六百九十万ペソ相当の十万五千ユーロを持ってモスクワ入りしたという。

 六百九十万ペソ所持の理由は「モスクワの物価の高さ」らしいが、これは国内世論を誤った方向へ導く言い訳だ。なぜなら、公安委員会認可の出張旅費二百三十万ペソは、モスクワの物価を考慮した海外出張規定(二〇〇四年改訂)に基づいて算出された額だからだ。

 同規定に沿った宿泊代や食費など滞在経費総額は、モスクワの場合、一日当たり五百三十ドル。六日間滞在した比代表団(七人)の滞在経費総額は二万二千二百六十ドル、百万ペソ強となる。二百三十万ペソからこの経費総額を差し引いた残り約百万ペソあまりが航空券代など交通費で、「二百三十万ペソ」は妥当な額だったといえる。

 しかし、六百九十万ペソもの「別枠経費」がある中で、二百三十万ペソは一体、何のための出張旅費だったのか。デラパス氏は「異国の地で、代表団メンバーの入院など不測の事態に備えるため」と説明するが、緊急時の備えならば海外旅行保険を利用すればよかったはずだ。

 なぜ六百九十万ペソもの大金を持ち歩かねばならなかったのか。リスクを冒すだけの「メリット」がデラパス氏と代表団の国家警察幹部にはあったはずだ。(23日・インクワイアラー)

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