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8月18日のまにら新聞から

和平交渉の対価

[ 722字|2008.8.18|社会 (society)|新聞論調 ]

MILFの統制問題

 比政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)が基本合意した「父祖伝来の土地」問題に関する覚書案をめぐる議論は、アロヨ大統領に憎悪となってのしかかる。

 最高裁が同覚書案署名を一時差し止めて以降、MILFは「署名延期は政府内部の問題」と指摘、覚書案は署名済みで法的拘束力も備えているとの立場を示した。結果的にこの立場が国民の不信感を買うことになる。

 MILFは、自身らが勝ち取った利権が一時的なものだったとする考えに納得できず、差し止め決定に反応したのではないかと国民には映る。さらに、ミンダナオ地方北コタバト州の一部地域を不法占拠するという残念な決定を下した。本当に和平に取り組む意思があるのかどうか疑問だ。

 例え、MILFが撤退したとしても、不法占拠という事実を考えれば不安だけが残る。不法占拠したMILF幹部率いる第一〇五部隊は、MILFから離脱したのか、それとも指導者の命令に従ったのか。また、比国軍が指摘するように裏切り者なのか。

 いずれにしても、そのような「無秩序」状態が続けば、和平協定に対するMILFの順守姿勢には大きな疑問が残る。MILF幹部は適切に統制できるのか。派閥を単なる内部問題として片付けることはできない。それは和平協定の履行状況に影響を及ぼすからだ。言い換えれば、MILFは和平協定への順守を保証できるのか。できなければ、和平交渉を続ける意味はあるのか。

 覚書案は文字通り、現行のイスラム教徒自治区法では認められていない外交権の一部も含めてMILFに広範な権限を付与することになっている。

 この対価に政府は何を獲得できるのか。一つだけ確実に言えるのは、平和ではない。(15日・インクワイアラー)

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